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チニブという竹垣はフクギの景観を壊さずに屋敷を守ります
計画的なムラの造成のため、集落内の道は格子状になり、魔を除けるための石敢當が置かれています。フクギ並木も多く残されています。琉球の村づくりを見ることのできる貴重な集落です。
フクギ並木で記念撮影 右のブロック塀に比べると竹垣チニブがきれいです
シルバマは尻浜のことで集落の後ろを指します
立春のこの日、体感温度はおそらく10度くらい。南国沖縄でもコートが欲しいくらいの北風が吹きます。2018年の「桜の季節にガイドとめぐる今帰仁の史跡」ツアー最終日のBコースのスナップです。
アオリヤエ(阿応理屋恵)ノロ殿内火の神の祠の前で記念撮影
予想もしなかった大目玉は、今帰仁ノロと中城ノロの勾玉でした。普段は公開しない、いわば家宝です。今回の見学のために特別に見せてくださいました。
勾玉は琉球国の王様から賜ったもの。ノロという公職に任ぜられたとき辞令書ともに与えられたものです。およそ400年前から代々ノロ家に伝わる勾玉は、ノロ職のしるしであり祭祀のときだけ使われる神器でもあります。
今帰仁ノロ家に伝わる勾玉はかんざしとセットになっています。
中城ノロ家に伝わるのは勾玉。かんざしは破損したとされ今はありません。鳩のかたちの花瓶のような焼き物があります。
辞令書は両家とも現物はありません。戦火で失われたようです。
今帰仁ノロの勾玉とかんざし
中城ノロの勾玉と花瓶
今帰仁ノロ殿内火の神の祠 琉球時代の今帰仁ノロの屋敷跡
現在の今帰仁ノロ殿内 緋寒桜が咲いていました

各コースと日付にご注意ください。 画像クリックで拡大します。
恒例となった「桜の季節にガイドとめぐる今帰仁の史跡」ツアーのお知らせです。
2018年はDコースが増えて4コースとなりました。
Dコースは「今帰仁上り」の主要な拝所をめぐります。「今帰仁上り」とは、門中と呼ばれる親族が奇数年ごとに、聖地をめぐる伝統行事です。1800年代には始まったとされています。
沖縄島北部に位置する今帰仁グスクに、中南部からも参拝に来ます。昔は徒歩で、今はチャーターした観光バスで。2台の大型バスに総勢100名という大きな門中の一行もめずらしくありません。
今帰仁グスクに直接関係する門中もあります。しかし、参拝者の多くは直接の関わりはないけれど、ご先祖をたどれば関わっているという信心があるのです。ご先祖を敬う精神が、こんにちまで今帰仁上りを盛り上げているのかもしれません。
「今帰仁上り」は沖縄語では「なきじんぬぶい」と言います。
ツアーのご予約は電話またはメールでどうぞ。
電話: 080?6490?8250 担当者直通
メール: manabukai@crt-okinawa.com
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運天港の海に面した古い墓。ここから散策が始まります。
古い墓は断崖の岩を掘り込んで造られています。昔は風葬だったので、このような場所が選ばれたのでしょうか。
大北墓。ウーニシ墓と読みます。今帰仁グスクを管理した第二監守と家族が葬られています。
監守は、琉球王国時代の王族である尚家の一族なので、墓の造りもひときわ立派です。
伝統的な「今帰仁上り」には、多くの門中(もんちゅう、親族)が訪れます。
この日の案内人は副会長の大田原さん。
お墓の前で記念撮影。
ハサギ。ハサギとは、ノロや神人(かみんちゅ)が祈願する所。集落ごとに作られています。軒がとても低いのは、頭をさげ腰をかがめて、神の前に出るようになっているため。ハサギは、後に租税の集積場としても利用されました。
フクギ並木の集落内を歩く。
ウプガー。大川と書いてウプガー。カーは湧き水や井戸を指す言葉です。
沖縄島内には、自然の湧き水が多く、水道が引かれるまでは、生活用水に利用されました。今では、コンクリートで固められ農業用水として使われています。
運天トンネル。長さ約17メートル。ご覧のとおり短いトンネルです。今の姿は、コンクリートできれいに固められています。
大正13年(1924年)に竣工。それまでは、急な山道を登っていたので、村人にとって恵みのトンネルとなりました。
源為朝上陸碑。沖縄島に為朝が上陸したとの伝説は、根強くあったようです。運を天にまかせて、ここに上陸したから運天と名付けられたという語呂合わせも。
日本と琉球が近縁だという日琉同祖論や、皇民化教育に利用されたというのが、今の歴史認識です。書は東郷平八郎、台座には国頭郡教育部会と刻まれています。
百按司墓。ムムジャナ墓と読みます。多くの按司(あじ)が葬られている、という意味ですが、誰が葬られているのかは不明。今帰仁グスクを管理した、第一監守一族ではないか、という説や、北山王の一族ではないか、という説もあります。
墓や周囲の景観がきわだっているので、一見の価値ありの場所です。
集落へと戻ってきました。運天の史跡めぐりも終了です。