サカンケーと呼ばれる遥拝所。前方がクバの御嶽。
クバの木が、昔は繁茂していたことから、クバの御嶽と言うようです。
遥拝所は、山に登れない人でも皆と同様に、神々を拝することができる場所なのです。
大勢の人々が遥拝している写真は、今帰仁グスクのお膝元の今泊集落の祭祀です。旧暦5月15日と9月15日におこなわれています。
サカンケーとは別の遥拝所。この香炉はいつ置かれたのか定かではない。
一方、クバの御嶽は、琉球王国の重要な御嶽でした。クバの御嶽に涼傘(りゃんさん、ひがさ)が立つと、神が出現したとして、首里城に飛脚を走らせて知らせます。
首里城では、ノロをはじめ国王、家臣が装束を整え鼓を打ち歌を謡ったとされます。神権を重要視した琉球王国ならではの情景かもしれません。
涼傘とはどんなものか、以下の写真でご覧ください。
首里の古式行列で披露された、赤と黄の涼傘です。
以下のような伝承があるので、赤と黄の涼傘が再現されているのでしょう。
「昔、神の出現があるとき、黄涼傘がアフリヌハナ嶽(今帰仁村謝名)に立つと、赤涼傘がクボウヌ嶽(クバの御嶽)に立つ。」または、その逆のこともある。国頭のアフリ嶽に立つこともある。(簡略化して記述)
クバの御嶽に涼傘が見えることがあるでしょうか?これらの不思議な現象は、現代人には見えないのかもしれません。
首里の古式行列で赤の涼傘を持つ人。
首里の古式行列で黄の涼傘を持つ人。
涼傘の2枚の写真はTakuye network http://www.takuye.jp/ よりお借りしました。
この写真がビロウ。沖縄語でクバ。クバの御嶽の由来となっている。
街路樹のワシントンヤシに似ているが、ビロウは葉先が切れて垂れ下がる特徴がある。
現在のクバの御嶽に、一本もクバがないのが実は不思議。