写真は今帰仁ノロ(2009年頃、今帰仁グスク平郎門前にて撮影)
ノロについてご紹介すると、お客様の中には霊力のすぐれたひとがノロになるのかな?と思われる方がおられるようです。
しかし、ノロは首里王府が任命する神役であり、辞令書が交付されています。今風にいえば公務員だったわけです。
名護市には「真喜屋のろ難渋一件」という資料があります。これによると、1868年に死去した真喜屋ノロの後継をめぐり、真喜屋村と仲尾次村の間で、紛争が起こり羽地番所(今の役場)を巻き込んだ訴訟事件になりました。
その結果、翌年8月に両惣地頭家(今の村長)の裁決で、仲尾次村側から立てた後継者がノロとして任命されました。
(名護市広報市民のひろば1月号、市民だよりから一部転載させていただきました。
こうして、訴訟にまで発展したノロの後継者選び。ノロに就任することは、村にとっても名誉なことだし、ノロ家は首里王府から給与(米、麦など)やノロ専用の田畑が与えられる特権があります。
こうした特権をめぐる争いだったかもしれません。ノロも利害をめぐって争う、ふつうの人だったのでしょうか。
用語解説
公儀ノロ
ノロは首里王府時代、村落の祭祀主として農耕儀礼を司祭し、宗教的に村人を管理支配した女性神役。勾玉、神衣装、田畑なども与えられた。(名護市広報市民のひろば1月号、市民だよりから)
下の写真は今帰仁ノロ火の神の祠。今帰仁グスクが機能していた、おそらく1600年初め頃まで今帰仁ノロが住んでいた屋敷跡。
現在は祠の中に火の神が祀られ、拝所となっている。香炉が置かれ、塩が盛られているのが見える。以前は茅葺き屋根だったが、近年瓦に葺き替えられている。
ガイドしているのは岸本氏。城外ガイドAコース(ハンタ道コース)に含まれており、今帰仁グスクを学ぶ会が案内しています。(予約制、有料)